怖い話:遊んでいるのは(洒落怖)

怖い話:遊んでいるのは(洒落怖)

 

とある山の向こうの街に、

届け物をしに行った時の話です。

 

仕事で使っている部品に

一つ不備があったと取引先の工場から

連絡が来たのは昼過ぎでした。

 

出来れば早めに送って欲しい

と言われ、その日特に急ぎの用事も

無かった私は上司に頼まれて

車で届けに行く事になりました。

 

先方に連絡をしてから車に乗り込み

空いている高速を飛ばして向かいます。

 

スムーズに行けたので、

二時間ほどかかるはずが

越えなければいけない峠に一時間で

到着できました。

 

これなら早く届けられるな、

と思いながらその峠を上り始めます。

 

まだ日も高く、晴れた空と木々の緑が

気持ちよくて仕事中なのにドライブ気分で

運転していたところ、

ルートが二つに分かれていることに

気がつきました。

 

特に何も考えず十分ほど

短縮できるルートで進んだところ、

短めのトンネルがその先にある事を

ナビから告げられました。

 

以前その取引先に上司と行ったときは

たしかトンネルなんて無かったので

もう一方のルートだったのでしょう。

 

どうして早くつくほうにしなかったんだろう

と思いながらカーブを曲がり、

そのトンネルの手前に差し掛かりました。

 

…!?

そのカーブを曲がった瞬間

少し辺りの空気が重くなったような

気がしました。

 

あんなに晴れていた空が

少し曇ったような気さえしてきます。

 

嫌な気分になりながら

トンネルに車を進めて、

すぐにブレーキを踏みました。

 

そんなに長くないトンネル

向こうの景色も見えるほどの短さの

トンネルの真ん中くらいで、

子供が三人遊んでいたのです。

 

危ないなあ、こんなところで。

そう思って車から降りようとして、

急に鳥肌がたちました。

 

ここはふもとから車で二十分。

峠を越えた先の街までもまだ車で

三十分ほどあります。

 

子供達はボールをついたり

道路脇の草をいじったり、

三輪車に乗っていました。

 

側に親がいる様子もありません。

 

子供だけで、

こんなところに来れるわけが無いのです。

 

そう気づいたとき、

窓も開けていないのに子供の三輪車の

キコキコという音が聞こえてきました。

 

その瞬間。

私は絶対前を向かないように

すごい勢いでバックし、

カーブのところでUターンして

分かれ道まで戻りました。

 

Uターンするときに目の端で

三人の子供が立ち上がって

こちらを向いているのがわかりましたが

顔は暗くて全く見えませんでした。

 

分かれ道に戻ってすぐ大きな音で

カーステを付け大急ぎで

取引先に向かいました。

 

なんとか無事に到着して部品を届け

挨拶をして帰ろうとしたとき、

担当の方がそういえば、

と話し始めました。

 

「二つルートあるけどね、短いほうのトンネルは通っちゃ駄目だよ。あそこは昼間でも引き込まれるからね。」

 

もう少し早く言ってくれよ!

とは言えず曖昧に笑って、

私はまた先ほどのルートを通って

帰ったのでした。

 

後から思い出しましたが

あんなに真昼間の明るい時間帯だったのに

トンネルの中だけは真っ暗だったのです。

 

あの子供達はいったい…

コメント